headless 曰く、
NASA のボイジャーミッションを担当するエンジニアがスラスターの機能維持とソフトウェアパッチに注力しているそうだ
(NASA JPL のニュース記事、
Ars Technica の記事)。ボイジャー 1 号・2 号のスラスターは機体を回転させて通信用のアンテナが地球に向いた状態を維持するのが主な用途だ。細い推進剤注入チューブの内部では、数十年にわたるミッションで噴射時の推進剤残留物の蓄積が顕著になっている。推進剤注入チューブが完全に詰まる時期は予想できないが、スラスターの寿命を延ばすべく 1 回の噴射による回転を 1 度近く大きくするためのコマンドを 9 月と 10 月に送信したそうだ。回転を大きくすることでスラスターの噴射時間が長くなる一方で、噴射回数を減らすことができる。これにより科学データの一部が失われる可能性もあるが、より多くのデータを時間をかけて地球に送信できると判断したとのこと。
ソフトウェアパッチは姿勢制御装置 (AACS) の問題発生を防ぐためのものだ。ボイジャー 1 号では 2022 年に AACS の問題によるデータ化けが発生した。調査の結果 AACS が何年も前に機能を停止したオンボードコンピューターを通じてテレメトリーデータを送信しようとしたためだと判明したが、誤動作の原因や再発の可能性は不明だ。ソフトウェアパッチはこれを防ぐものだという。ボイジャー 1 号・2 号はそれぞれ地球から 150 億マイル・120 億マイル離れた位置にあり、パッチを送信するには 18 時間以上を要する。他のどの宇宙機よりも地球から離れた位置にあるボイジャー 1 号のデータは特に価値が高いため、ボイジャー 2 号が先にパッチを受信して実験台となる。
チームはパッチのアップロードと確認を 10 月 20 日に実施し、問題がなければ 10 月 28 日にコマンドを送信してパッチが計画通り動作しているかどうか確認するとのことだ。
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Source: スラッシュドット