テッポウエビ属やツノテッポウエビ属のエビはハサミ状の第一脚から衝撃波を出すことで知られるが、外骨格に自らを衝撃波から守る仕組みを備えているというサウスカロライナ大学の研究グループによる研究成果が発表された
(論文、
Ars Technica の記事)。
これらのエビは左右大きさの異なるハサミを持ち、大きい方のハサミを閉じる時に大きな音を出す。これは餌となる小魚や甲殻類、縄張り争いの相手を衝撃波で攻撃するためと考えられているが、自ら衝撃波に繰り返しさらされて負傷する可能性もある。
研究グループではこれらのエビで特徴的な「orbital hood (眼窩の覆い)」と呼ばれる構造に注目。これは頭胸甲が眼を覆う形で伸び、前端のみが開いた構造だ。この覆いがヘルメットのように衝撃波から守ると考えた研究グループは、テッポウエビ属の Alpheus heterochaelis を用い、通常の個体と覆いを切り取った個体で衝撃波の有無による運動能力の変化や、覆いによる衝撃波の低減効果を実験した。
その結果、覆いを切り取った個体が衝撃波を受けた場合にのみ運動能力の大幅な低下がみられ、覆いが衝撃波を低減することも確認された。この覆いは衝撃波を弱めて神経外傷による短期的な悪影響から保護することが可能な仕組みとして、初めて確認された生物学的装甲システムとのことだ。
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2017年04月15日
Source: スラッシュドット