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無断スキャンした書籍を公開するInternet Archiveと出版社との裁判、双方が略式判決を要求

権利者に無断でスキャンした書籍を貸し出す Internet Archive を米国で複数の出版社が訴えている裁判で、原告被告双方が連邦地裁判事に略式判決を求める書状を送っている
(TorrentFreak の記事
被告側の書状: PDF
原告側の書状: PDF)。

Internet Archive の Open Library では所有する紙の書籍をスキャンして貸し出すサービスを行っている。同時貸し出しを制限する Controlled Digital Lending (CDL) という仕組みも導入しているが、COVID-19 パンデミック初期の 2020 年 3 月には閉鎖した図書館に代わって電子書籍を貸し出す National Emergency Library (NEL) として貸出数の制限を 12 週間にわたって解除した。Internet Archive 側はフェアユースを主張しているが、同年 6 月には著作権侵害としてアシェットやハーパーコリンズなどの大手出版社が提訴した。

今回 Internet Archive 側が判事に送った書状では、サービスが非営利であり、CDL により所有する紙の書籍の数に貸出数を制限していること、大半が出版から 5 年以上経過した書籍であること、貸し出しているのは正規に購入した書籍であり、出版社に損害を与えていないことなどを理由にフェアユースを主張している。また、2020 年春の状況を踏まえれば NEL もフェアユースであるとして、Open Library と NEL のフェアユースを認める略式判決を求めている。

一方、出版社側が判事に送った書状では、Internet Archive が 2019 年にオンライン最大の古本販売業者を買収して大量の書籍をフィリピンや中国に送って電子化するなど、産業規模で海賊版電子書籍を製造していると指摘。Google Books 判決 (書籍の無断スキャンはフェアユースと判断されたが、利用目的は全文検索とスニペット表示に限られる) では印刷された書籍から電子書籍を作ることは現著作物の権利者が占有する二次的著作物を作る権利にあたるとの判断が示されたと主張する。また、電子書籍化は変形的使用に当たらず、無料提供により購入する可能性が低くなるため著作物の価値を低下させることなどを挙げ、フェアユースにあたらないことを認める略式判決を求めている。

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Source: スラッシュドット