kechamin2 曰く、
昨今、国際サッカー連盟(FIFA)内において、現在4年に一度の開催とされているFIFAワールドカップを、2年に一度の開催とする改革案が持ち上がっている(朝日新聞)。
改革案の旗振り役となっているのは、元イングランド・プレミアリーグ「アーセナル」の監督を務めた、アーセン・ベンゲル氏。
Jリーグ「名古屋グランパスエイト」の監督を務めたこともあり、日本でも知名度の高い監督だが、昨年からは、FIFAの「グローバル・フットボール・ディベロップメント」部門のトップに就任している(FIFA公式サイトより引用)。改革案では、
・ワールドカップを、毎偶数年(2年に一度)の開催とし、
・ワールドカップの開催されない奇数年においては、ヨーロッパ選手権(EURO)やアジアカップ等、各地域・大陸ごとの連盟が主催する大会を開催する、
・トップ選手の負担を軽減すべく、いわゆる親善試合(フレンドリーマッチ)については、これを削減する、
といった考えが盛り込まれている。そもそもこの「2年に一度ワールドカップ」案は、スキャンダルで失脚したゼップ・ブラッター前会長が1999年にはすでに提案していたものだが、当時は一旦却下された。
今回、2021年5月にサウジアラビアのサッカー協会が改めて提案し、2021年5月21日、FIFAの年次総会において、賛成多数(166の国の連盟が賛成票・22の国の連盟が反対)で、「実現の可能性を探ること」が承認されている(参考)。いまや莫大な収益源となっているワールドカップの開催頻度を増やし、収入増等を目指したいFIFAとしては、会長ジャンニ・インファンティーノ氏をはじめ、「より多くの選手に、ワールドカップという舞台を提供できる」等とし、これに賛同しており、
・元イングランド代表FWであるマイケル・オーウェン氏や、
・元コートジボワール、FCバルセロナやマンチェスター・シティでも活躍したヤヤ・トゥーレ氏などを擁し、
積極的にプロモーション活動を展開している。反面、UEFAヨーロッパサッカー連盟(アレクサンデル・チェフェリン会長)や南米サッカー連盟は、今回のFIFAの改革案に対し、反対を表明しており、仮に、ワールドカップの隔年開催が実現したとしても、連盟傘下の各国が、出場をボイコットする可能性にまで言及している(ロイター通信)。
強硬な反対姿勢の背景には、もしも、ワールドカップが2年に一度開催されることとなれば、現在ワールドカップが無い年に開催されている、各大陸・地域別の大会(ユーロやコパ・アメリカ、アフリカ・ネーションズカップ、アジアカップなど)は、これまで通りの開催が難しくなる可能性が小さくなく、自身の収益モデルに支障をきたす恐れがある、という事情がある。もっとも、反対表明の大義名分としては、
・開催頻度が高まれば「4年に一度」という希少性が薄れ、ワールドカップそのもののブランド力が低下するリスクがある。
・商業的なメリットはほぼないが、若い世代の育成に欠かせない、ユースレベルの国際大会への影響が避けられない。
・サッカー以外のスポーツのリソースを圧迫する恐れがある。
等といった点を挙げている。FIFA主催のワールドカップは、1930年の初開催以降、第2次世界大戦の影響で、1942年と1946年大会は中止となったが、その2大会を除けば、コンスタントに4年に一度開催されてきた。
ちなみに、アジアサッカー連盟(AFC)はFIFAの方針を支持する姿勢を見せているが、日本サッカー協会(JFA)としては、意見未決定の状態であるという。
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Source: スラッシュドット