文春オンラインは、2015年に完成した大型低温重力波望遠鏡「KAGRA」が当初目標としていた観測データの値を得られていないと報じている。報道はKAGRA内部の会議音声などを元にしたものであるという。記事によれば、KAGRAはシナリオペーパーで25~130MPc(メガパーセク)の感度を達成することを目標としていた(文春オンライン)。
しかし、今年の6月30日、KAGRAの最高幹部が集まるオンライン会議上で研究代表者の梶田氏はこの目標を達成することは放棄すべきと英語で話したそうだ。その上で、同氏は新たな目標を「1MPc以上」まで引き下げることにしたとしている。
文春では梶田氏に直接、感度を諦める発言に関して問いただしている。同氏は感度を引き下げることに関しては認めている。文春側ライターの1MPc以上では、科学的成果が見込めないと指摘したが、これに対しては「やってみないと分かりません」とし、欧州との差を埋めるためにも観測を行うことが重要だとする趣旨の発言をしている。
なおこの文春報道に対してKAGRAの公式サイトおよび東京大学宇宙線研究所がアナウンスを行っている(オンライン記事並びに週刊誌の報道について、KAGRA 大型低温重力波望遠鏡)。
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Source: スラッシュドット