headless 曰く、
Blue Origin では 2021 年から、月の模擬土を原料に太陽電池と送電線を作る研究を行っていたそうだ
(Blue Origin のブログ記事、
Ars Technica の記事)。月面での長期滞在には大量の電力が必要となる。Blue Origin が Blue Alchemist と呼ぶ手法では地球から特別な原料を運ぶことなく、月面で入手可能な原料を用いて発電システムを構築できる。Blue Alchemist は限りなく拡大でき、月面のどこでも電力確保という制約をなくすことができるという。
Blue Origin では月の表土と化学的・鉱物学的に同等の模擬土を作ることから開始。模擬土は月にある酸化物をただ混ぜただけのものではなく、粒の大きさや全化学組成のばらつきが実際の月の表土と同様になるよう勘案して作ったという。この模擬土を高温で溶融して電気分解すれば鉄やケイ素、アルミニウムを抽出でき、副産物として酸素も得られるとのこと。
ケイ素は太陽電池製造に必要な 99.999 % 以上の純度に精製する。地球上では毒性や爆発性のある化学物質を大量に使用するケイ素の精製だが、Blue Origin の手法では太陽光と抽出したケイ素のみを使用するそうだ。太陽電池を保護するカバーガラスも溶融模擬土の電気分解の副産物として原料が得られる。
この手法による太陽電池製造は炭素を排出せず、水や毒性のある原料、その他の化学物質も使用しない。そのため、地球上でも直接的な恩恵を受けられる可能性のある技術とのことだ。
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Source: スラッシュドット