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米FDAの諮問委員会、フェニレフリンを内服しても鼻づまり緩和の効果はないと判断

16 人の専門家で構成される米連邦食品医薬品局 (FDA) の非処方医薬品諮問委員会 (NDAC) は 12 日、フェニレフリンの鼻づまり緩和について、経口投与では効果がないことを確認する決議を全員一致で採択した
(The Verge の記事
The New York Times の記事
NDA Cのバーチャル会議動画)。

フェニレフリンはプソイドエフェドリンと並び、日本でも市販の風邪薬や鼻炎薬で鼻づまりを緩和する成分として幅広く用いられている。米国では覚せい剤合成の原料となるプソイドエフェドリンを含む医薬品は販売が制限されており、フェニレフリンに頼る人が多いようだ。しかし、フェニレフリン経口投与による鼻づまり緩和はプラセボ並みの効果しかないことが最近の研究で示されており、NDAC ではこれらの研究成果を検討 (PDF) していた。その結果、フェニレフリンは点鼻など外用で用いる場合の効果はみられるが内服では効果がなく、他の成分の過剰摂取にもつながるとの結論に達した。

NDAC の採決は FDA の対応を拘束しないが、通常はその判断に従って対応が行われるという。米消費者ヘルスケア製品の業界団体 CHPA はフェニレフリンを使用する内服薬を購入した消費者の 83% が鼻づまりが緩和されたと回答しており、内服薬でフェニレフリンの使用が禁じられたら必要な治療が行えなくなる患者が増加するなどとして決議に反対していた。そのため、採決を受けてフェニレフリンの規制による意図しない結果を生むことがないよう、慎重に検討することを FDA に求めている。

これについて FDA では、今後意見募集などを行い、実際に市販薬の成分としてフェニレフリンの承認を取り消すかどうかを検討していくとの見解を示している。

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Source: スラッシュドット