NASA の火星ヘリコプター Ingenuity は順調に飛行を重ねているが、4 月初めには 1 週間近く通信が途絶えていたそうだ
(NASA のニュース記事、
The Register の記事)。
通信が途絶えたのは Sol 752 (地球時間 4 月 2 日) に実施された 49 回目の飛行の数日後。49 回目の飛行は強風によるバッテリーの温度低下とコマンドシーケンシングの軽微な問題で 2 回中止されており、3 回目にようやく飛行に成功して過去最高となる高度 16m まで上昇して撮影に成功した。しかし、撮影データのダウンリンクを最後に通信が途絶え、50 回目の飛行に向けたインストラクションの送信を試みたが、ヘリコプターのベースステーション (HBS) から返されるデータはヘリコプターの信号が受信できないというものだった。
冬が終わってヘリコプターの充電状態は改善しているが、日によってサバイバルモードで夜を越せるかどうかぎりぎりの状態で、電源が落ちてしまうと復帰時間の予想が難しい。親機の火星探査車 Perseverance 側の都合もあり、復帰が予測される時間の範囲全体にわたって探索し続けることはできない。そのため、チームは数日掛けてようやくヘリコプターに再接続するといった経験を重ねており、Sol 755 に通信が失われた時点ではあまり心配していなかったそうだ。探査車はその後、通信の妨げとなる岩石の陰に入ったため、探索失敗が続くのは通信の問題だと考えていたとのこと。しかし、探査車の移動で通信の問題がなくなってもヘリコプターは見つからず、さすがに不安を感じ始める。
1 週間近くたったSol 761、ヘリコプターはチームが復旧時刻と予測していた現地の平均太陽時 (LMST) 9 時 44 分に通信確認 (ACK) 信号を 1 回だけ送信してくる。翌 Sol 762 にも ACK が 1 回だけ送信され、ヘリコプターが生きていると確認される。チームがフライトプランを送信した結果、ヘリコプターは Sol 763 (地球時間 4 月 13 日) に 50 回目の飛行を実施して前回の記録を上回る高度 18m に到達し、翌朝テレメトリーデータをダウンリンクしてきたとのこと。
Ingenuity の充電不足は当分続き、チームと小さなヘリコプターとのかくれんぼも当分続くとのことだ。
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Source: スラッシュドット