headless 曰く、
使用済み紙おむつをインドネシアの低コスト住宅で建築材料の複合原料に用い、ゴミの問題と建設コストの問題を同時に解決するという研究の成果を北九州市立大学の研究グループが発表している
(論文、
Ars Technica の記事)。インドネシアでは人口増に伴い、低コスト住宅の需要と育児に用いる使い捨て紙おむつの使用量が増加しているという。使用済み紙おむつをリサイクルする研究は既に行われており、取り出した高分子素材を複合原料として用いることで建築材料を強化できることが判明している。たとえば、コンクリートに 1% の紙おむつ素材を添加することで内部の水和反応による養生を改善し、より丈夫な素材ができる。塩素を使用すれば衛生上問題ないレベルまで消毒可能だ。
今回の研究ではインドネシアの低コスト住宅 (広さ 36m2) での使用を想定し、使用済み紙おむつを用いたコンクリートやモルタルをインドネシアの建築基準に合わせて設計した。その結果、構造部品では細骨材の 10%、非構造部品では 40% を紙おむつで置き換え可能であり、プロトタイプの住宅では紙おむつのゴミを 1 戸あたり 1.73m3 減らすことができたという。
ただし、紙おむつのリサイクルには収集・洗浄・消毒・乾燥・細断・分離といった複雑な処理が必要であり、現在のところ手掛ける企業は先進国に限られている。また、建設に関するさまざまな規則の対象は従来型の建設材料に限られており、新しい素材を使用するには法制化も必要だ。今後の研究ではこれらの問題も解決していく必要があるとのことだ。
| サイエンス
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Source: スラッシュドット