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米連邦地裁、Internet Archiveの無断でスキャンした書籍の貸し出しにフェアユースを認めず

headless 曰く、

米ニューヨーク南部地区連邦地裁の John G. Koeltl 判事は3月24日、権利者に無断でスキャンした書籍を貸し出す Internet Archive (IA) を大手出版社が訴えている裁判で IA のフェアユースが認められないとする略式判決を出した
(裁判所文書: PDF
TorrentFreak の記事
Neowin の記事
Internet Archive Blogs の記事)。

IA は所有する紙の書籍をスキャンして電子書籍化し、貸し出すサービスを権利者に無断で行っている。Controlled Digital Lending (CDL) という仕組みにより同時貸し出し数を所有部数に制限することで貸し出しの正当性を主張しているが、2020 年 6 月には米大手出版 4 社が IA を提訴した。IA 側は出版社の複製権や上演権を侵害したことについては否定せず、フェアユースを主張。一方、出版社側はフェアユースに当たらないと主張し、双方が略式判決を申し立てていた。

判事はフェアユースの要件である (1) 商用・非商用などを含む利用の目的や特徴、(2) 著作物の特質、(3) 著作物全体に対する使用量、(4) 利用による著作物の価値への影響、という 4 点について総合的に検討した。(1) に関しては、IA による利用が過去の判例で重視されてきたが必要最低限のものだけを取って新たな価値を生み出す変容的利用にあたらないと判断。商用・非商用の別についても、IA が寄付を受け付け、提携した古本店から売り上げに応じた手数料を得るなど IA が主張するような完全な非商用ではないと判断している。

また、IA はファーストセールドクトリンにより著作物の複製を販売した時点で出版社の権利が消尽するとも主張したが、無断複製が認められるようにはならない。さらに IA は所有部数と同数のデジタルコピーを貸し出す権利があるとも主張したが、そのような権利はなく、提携図書館が紙の本の貸し出しを制限しているかどうかも確実ではなかったという。これらのことから、(1) に関しては IA が著作物に対する慣習的な代償を支払わずに悪用したと判断している。

(2) については創造的な表現物である書籍の内容が著作権保護の主要な目的に合致しており、単純にコピーして貸し出す行為がフェアユースにあたる可能性は低いと判断。(3) は著作物全体であり、(1) により全体の利用はフェアユースとして正当化できないこと、(4) はフェアユースとして認められない市場で競合する代替品にあたることを挙げ、すべての要件でフェアユースが認められることはないと判断した。

IA ではこの判決について、CDL を利用する全米の図書館が影響を受け、作者や読者にも損害を与えるものだなどと主張し、支持を呼び掛けている。

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Source: スラッシュドット