headless 曰く、
人気ロックバンド U2 に興味のなかっただけの人の多くを U2 嫌いにした 2014 年の iTunes でのアルバム無償配布事件について、リードボーカルのボノが 11 月に出版する回顧録「Surrender」ですべては自分の責任だと語っているそうだ
(The Guardian の記事、
The Verge の記事、
9to5Mac の記事)。The Guardian が抜粋した該当部分によると、ボノがアルバム無償配布を提案した際、当時すでに CEO を務めていたティム・クック氏はいい顔をしなかったという。まずクック氏はミュージシャンが確実に対価を得られるよう、Apple では音楽を無料で人にあげたりしないようにしていると説明。一方、ボノは Netflix が映画の配信権を購入してサブスクライバーに提供するのと同様に Apple が U2 のアルバム配信権を購入し、無料で贈るという意味だと説明したそうだ。
Appleはサブスクリプションサービスを提供しているのではないというクック氏に、ボノはこれからそうなるから U2 のアルバムをその始まりにしてほしいと要望する。クック氏は U2 の芸術を無償配布するのは誤りだと納得せず、U2 を好きな人にだけ配布するのかと確認。ボノはユーザー全員が対象だとして聴くかどうかは各自の選択だなどと答えたという。
ボノは興味のない人を無償配布の対象にした場合の危険も認識してはいたが、近所の家すべての玄関先に牛乳を置いていくようなものだと思っていたという。しかし、無償配布が始まった 2014 年 9 月 9 日、牛乳を玄関先ではなく各戸の冷蔵庫内まで届けてしまったことに気付く。ソーシャルメディアの皮肉屋はこの状況を「朝起きたらボノがうちのキッチンで私のコーヒーを飲んでいて、私のガウンを着、私の新聞を読んでいた」と表現し、無償の U2 のアルバムは高額すぎると指摘した。その結果、Apple は 1 週間もしないうちに無償配布アルバムの削除ツールを提供することになる。
しかしクック氏は動じることなく、提案された実験はうまくいかない可能性もあったが、現在の形の音楽ビジネスはすべての人に向いてはいないのだから、実験する必要があったのだと述べたという。ボノはクック氏が問題を解決するために違うことを試す用意があるだけでなく、それがうまくいかなければその責任を取る用意もあるとし、スティーブ・ジョブズ氏がクック氏を選んだ理由の一つだと評している。
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2014年09月17日
Source: スラッシュドット