米疾病予防センター(CDC)が7日に公開した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の伝染に関する科学的摘要記事で、静かに呼吸している感染者の呼気が感染源となる可能性に初めて言及した(Scientific Brief: SARS-CoV-2 Transmission)。
CDCは昨年10月にSARS-CoV-2が空気感染する可能性を初めて認めたが、換気の悪い閉鎖空間で感染者が強く息を吐くことが条件となっていた。今回の記事では人々が息を吐く(静かに呼吸する・話す・歌う・エクササイズする・咳をする・くしゃみをする)ときにさまざまな大きさの細かいしずくの形で呼吸器分泌液を発散するとし、これらのしずくがウイルスを運んで感染を広げると説明している。
ウイルスを運ぶ呼吸器分泌液の曝露により感染する経路としては、1)非常に細かいしずくやエアロゾルを吸い込む、2)飛沫が粘膜に付着する、3)汚染された表面に触れた手で粘膜に触れる、の3種類が挙げられている。3)による新規感染は少なく、1)と2)は定量化されていないが、現在の感染予防に関する推奨事項(物理的な距離の維持・コミュニティでのマスク着用・適切な換気・人の多く集まる屋内を避ける)は引き続き効果的とのことだ。
なお、CDCはコミュニティでのマスク着用に関する科学的摘要記事も7日に更新しており、マスクの着用方法を工夫することでマスク着用者の感染を防ぐ能力を向上できることや、マスク着用による健康への影響に関する記述などが追加されている。
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