東京大学や JAMSTEC などの研究グループが新しいコンセプトの海底調査ツール「A-core-2000 (Acoustic coring system)」を開発し、相模湾深海での実証実験に成功したそうだ
(プレスリリース、
東京大学の記者発表、
論文)。
A-core-2000 は高周波の収束型超音波センサーと専用防水モーターを搭載する 2 軸フレームで構成され、250 mm × 250 mm の範囲に 500 kHz の超音波を連続照射しながら 2 mm 間隔でスキャンして海底下を 3 次元的に高解像度で可視化できるという。
従来、深海の堆積物中に生息する底生生物の調査にはサンプリングによる手法が用いられてきたが、A-core-2000 を使用すれば調査効率が大幅に向上するほか、その場での非接触・非破壊的な観察や空間的な分布の把握が可能になる。
研究グループでは JAMSTEC の有人潜水調査船「しんかい6500」に A-core-2000 を搭載し、静岡県初島沖の相模湾深海 (水深 851 m ~ 1,237 m) に広がるシロウリガイのコロニー周辺で実証実験を実施。殻が完全に海底下に潜った状態で生息し、光学カメラなどでの確認が困難だった幼体を含め、17 個体のシロウリガイの空間分布とサイズの可視化・定量化に成功した。
A-core-2000 を用いることで、これまで困難だった海底面下に生息する埋在性生物の分布や生態を把握できるようになる。今後は資源・エネルギー開発や気候変動が底生生物に与える影響の把握や、地球科学的な物質循環の理解、水産資源の分布調査などに応用予定とのことだ。
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Source: スラッシュドット