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ロシアのウクライナ侵略、ノーベル平和賞受賞者が主筆を務めるロシアの独立系新聞はどう報じているのか

headless 曰く、

2021 年にノーベル平和賞を受賞したドミートリ・アンドリービッチ・ムラトフ氏が主筆を務めるロシアの独立系新聞 Novaya Gazeta (新しい新聞) がロシアのウクライナ侵略をどう報じているのか、The New Yorker がムラトフ氏にインタビューしている
(The New Yorker の記事)。

ロシアのウクライナ侵略開始を受けて数時間早く集まった編集部は戦争反対で一致し、倉庫でほこりをかぶっていた防弾チョッキやヘルメットも持ち出したという。当局からは「戦争」「占領」「侵略」といった言葉を使わないよう圧力がかかったが、同紙では引き続き戦争を戦争と呼び、その結果がどうなるか様子を見ているとのこと。

一方、この件に関する Novaya Gazeta の記事によると、検察庁と連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁 (Roskomnadzor) は同紙を含む独立系メディアに対し、ウクライナに対する軍事行動を「戦争」「侵略」「侵入」などと表現するコンテンツの削除を命じており、従わなければ巨額の罰金や媒体の廃止を命ずることになると脅しているそうだ。

編集部では 2 つの対応「検閲下で当局の要求を受け入れつつ報道を続ける」「軍事作戦終了まで作業を見合わせる」をまとめ、協力者に投票を求めた結果、4,460 人の 93.9 % が前者を選んだとのこと。同紙記事で「戦争」という表現が使われていないわけではないが、当局が使用する「特別作戦」のような表現や、「軍事作戦」のような表現が主に使われている。中には当局の命令により削除したコンテンツの跡地をわざわざ残したページもみられる。

ムラトフ氏によればロシア国内でも 3 分の 1 以上が軍事行動に反対しており、いつもの無関心とは状況が異なるとのことだが、ウラジーミル・プーチン大統領失脚につながるかどうかは判断が難しいようだ。プーチン氏がどのような情報を得て侵略に踏み切ったのかは明らかでないが、NATO の脅威やウクライナでのファシストの権力掌握による脅威を防ぐといった主張は市民の共感を得られていないという。

それでもロシアでは 2020 年の国民投票でプーチン氏のさらなる長期政権を可能にする憲法修正案が公式発表で 77.9 % の賛成票を得ていることから、国民の信任を得ているとの見方もある。「プーチンなくしてロシアなし」と信じる側近らもいるが、若い世代の人たちは信じていないとのことだ。

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Source: スラッシュドット