AC0x01 曰く、
NASAは17日、2024年の月着陸を目指すアルテミス計画の有人月着陸船として、候補としていたBlue Origin、Dynetics、SpaceXの3社の案の中から、SpaceXの「Starship」案のみを選定したことを発表した(プレスリリース、BBC Newsの記事、CNBCの記事、The Washington Postの記事)。
NASAは民間による月着陸船開発候補として2020年に3社を選定して複数の案を競わせたいとしていたが、今年3月には予算が25%しかつかず計画が遅延すると報じられるなど難しい状況にあった。3社の案は、堅実なDyneticsに、現代技術によって再設計したBlue Origin、全く路線が異なるSpaceXという内容であったが、今回の発表では中でも最も特異なSpaceX案のみが採用された。この契約により、SpaceXはNASAから28.9億ドルの予算を獲得する。
既に報じられている通り、SpaceXの案は、同社が現在開発中の超大型宇宙船「Starship」を月面バージョンに改造して使用するというものである。地球用のStarshipの垂直離着陸はいまだ試験中の状態だが、真空で低重力の月面での垂直離着陸は地球でのそれと比べて技術的難易度が遥かに低いため、十分に可能であると判断されたのだろう。計画では、NASAはオリオン宇宙船で宇宙飛行士を打ち上げた後、ゲートウェイでStarshipに乗り換えて月面を目指すこととなる。巨大なStarshipが用いられることで、アルテミス計画の月着陸はかなりインパクトのある光景になるだろう。
Blue OriginはLockheed MartinやNorthrop Grumman、Draperとともに「国家代表チーム」を編成して月着陸機を開発する計画を示していた。The Washington Postが入手した文書によれば、NASAの現在の予算では単一の契約も厳しい状態であり、SpaceXはそれに合わせて支払いスケジュールを調整したとのことだ。
| NASA
|
関連ストーリー:
「NASAがアルテミス計画の月面着陸の延期を検討」と報じられる
2021年04月01日
NASA監察総監室曰く、2024年中に人類を再び月へ送るというアルテミス計画のスケジュールは非現実的
2020年11月23日
NASA、月面での荷下ろしソリューションを募集
2020年11月02日
NASA、月面の日の当たる場所で水を検出
2020年10月29日
2024年の月旅行、何を持っていく?
2020年10月11日
NASA、月面の発電所から資源採取場所や処理施設に電力を供給するソリューションを募集
2020年09月30日
NASA、月の表土や石の価格見積を民間企業から公募
2020年09月13日
払い落すのが難しい月の塵、電子ビーム照射で効率よく除去できるという研究成果
2020年09月04日
JAXAとトヨタ、与圧式月面探査車の愛称を「LUNAR CRUISER」に決定
2020年08月29日
NASAが月面で使用する与圧式有人探査車、トヨタが製造する可能性
2020年07月19日
NASA、2024年に月面で使うトイレの設計コンテストを開始
2020年06月28日
NASAがアルテミス計画の月着陸船を開発する民間企業3社を選定
2020年05月19日
米下院に「NASAに月よりも火星を優先させる」法案が提出される
2020年01月28日
政府、米国の月探査計画への参画を決定
2019年10月22日
NASA、月ミッションに向けOrion宇宙船をロッキード・マーチンに発注
2019年10月01日
ドナルド・トランプ米大統領、NASAは月へ行く話をすべきではないと意見する
2019年06月09日
米副大統領、2024年までに宇宙飛行士を再び月に送ると宣言
2019年03月29日
Source: スラッシュドット