スウェーデンの Everdrone が運営する自律飛行ドローンによる自動体外式除細動器 (AED) の配達サービス EMADE (Emergency Medical Aerial Delivery) が 12 月、初めて人命を救ったそうだ
(プレスリリース、
The Verge の記事、
The Register の記事、
BBC News の記事)。
スウェーデン・トロルヘッタンの 71 歳の男性が院外心停止 (OHCA) を起こしたのは昨年 12 月 9 日、庭で雪かき中のことだ。地元の病院へ出勤途中だった医師のムスタファ・アリ氏が患者 (男性) を発見して心肺蘇生法 (CPR) を施す一方、他の通行人が緊急通報番号へ通報した。EMADE は緊急通報センターのサービスと完全に統合されており、救急車とともに手配された EMADE は 3 分ほどで現場に AED を届けたという。患者は AED による救命措置が行われたのちに病院へ運ばれ、現在は完全に回復したとのこと。
EMADE の実証実験は 2020 年夏期に 4 か月間実施され、64 % のケースで救急車の到着より前に AED を届けられるという結果が出ているが (論文)、実際に救命措置では使われるのは今回が初めてだ。
欧州では年 275,000 人、米国では年 350,000 人が OHCA を起こしているが、その 70 % は手近に AED のない個人宅で発生する。命の助かる可能性は心停止から 1 分経過するごとに 7 ~ 10 % 低下するため、救急車では遅すぎることも多い。その結果、現在 OHCA 患者が助かる割合は 10 % 程度に過ぎないという。このような問題の解決策になると期待される EMADE は既にスウェーデンで 20 万人に AED を届けることが可能であり、2022 年には欧州のより多くの場所で利用可能になるとのことだ。
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Source: スラッシュドット