NASAは火星ヘリコプターIngenuityの初飛行を4月11日夜(日本時間12日午前)に実施する計画を示していたが、9日にIngenuityが送ってきたデータに基づき、14日以降に再設定したそうだ(NASA/JPLの更新情報)。
Ingenuityは飛行実験の「飛行場」となるジェゼロクレーター内の平坦で障害物のない場所で火星探査車Perseveranceから降ろされ、切り離し後は最低-90℃にもなる火星の夜を自力で無事に乗り越えている。9日にはローターの高速回転テストが行われたが、テストを制御するコマンドシーケンスが監視タイマーの時間切れにより早期に終了した。この現象はフライトコンピューターのモードが「フライト前」から「フライト」への移行中に発生したという。
監視タイマーはコマンドシーケンスを監視し、問題発生の可能性をシステムに警告する。これにより想定外の問題が発生した場合に計画を中止することで、システムの安全を守る仕組みだ。ヘリコプターの状態は正常であり、地球とは完全なテレメトリーで通信している。ヘリコプターチームは診断と問題理解のためテレメトリーデータを精査中で、その後フルスピードテストの再スケジュールをするとのこと。
現在の地球と火星の距離では無線電波が届くまでに15分以上を要するため、実際の飛行はIngenuityのシステムにより自律制御される。Ingenuityはスピンアップ中に浮き上がらないようローターのブレードを調整後、初飛行時は12秒かけて2,537rpmまでスピンアップ。最終チェックが完了したらブレードのピッチを再調整して浮上を開始し、高度10フィートに達したら30秒間のホバリングを行う。その後再びジェゼロクレーター表面に降り、Perseveranceを通じて地球にデータを送信するとのことだ。
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Source: スラッシュドット