あるAnonymous Coward 曰く、
天然の細菌のDNAを丸々人工のものに置き換えた生物が、安定して細胞分裂できるようになったという話の様だ。人工の生命体の第一歩を超えた感じだろうか?
科学者たちは遺伝子工学の初期段階として、正常な細胞と同じように成長や分裂を行う単細胞合成生物を開発することに成功した。科学者たちの数十年にわたるゲノム配列決定と分析の結果、誕生したこの合成生物は「JCVI-syn3A」という名称で呼ばれている。JCVI-syn3Aは、個々の遺伝子が生物の中で果たす役割を探求する目的で作成された(Cell、ScienceAlert、GIGAZINE、ナゾロジー)。
2010年に初めてMycoplasma mycoidesという細菌から「JCVI-syn1.0」が作られ、そこから3代目に当たる「JCVI-syn3.0」では合計473個の遺伝子を合成して作られた。この数は自然界で知られている自立した生物よりも少ない数だそうだ。細胞の成長と分裂に必要な遺伝子を厳選して選んだためだという。
しかしこのJCVI-syn3.0は細胞分裂はするものの、分裂してできた細胞が奇形化する問題が出たという。原因は遺伝子数の不足にあったようだ。研究チームは、JCVI-syn3.0に新たに19個の遺伝子を追加することことにより、分裂細胞が異常な形にならないようにし、この改良されたものがJCVI-syn3Aと名付けられた。JCVI-syn3Aは安定して細胞分裂が行われ、形態学的変化が大幅に少なくなったとしている。
研究によれば、追加された19個の遺伝子のうち、細胞分裂プロセスを規則的に実行する役割を果たしているのは7個の遺伝子だけだという。その7個中の「ftsZ」と「sepF」と呼ばれる2つの遺伝子に関しては機能の特定に成功したとしている。他の5つがどのように関与しているかについてはまだ分かっていないようだ。
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Source: スラッシュドット