SNS上で「ホタテパウダーが農作物の残留農薬を除去できる」という情報が出回っていたという。鳥取県の水稲農家の40代男性がこの件に疑問を持ち、日本農業新聞の「農家の特報班」にメッセージが届いたそうだ。これをきっかけに同紙の記者が実験でその効果を検証したとされる(日本農業新聞)。
話題となっているホタテパウダーは、ホタテの貝殻を焼成・粉砕した粉で、水に溶かすと強アルカリ性の水溶液になる。SNS上ではこれにより残留農薬を除去できるとの主張が出回っているようだ。Twitterに上がっている動画では、漬け置き洗いした後の水が濁ったり、油膜のようなものが浮いたりする様子が撮影されているという。
記者はホタテパウダーを使ってトマトを洗う実験を実施。しかし、実験の結果、慣行栽培と有機栽培のトマトにおいても、ホタテパウダーを使った水溶液の変化に大きな差は見られず、残留農薬を除去したとする証拠は得られなかったそうだ。ホタテパウダーによる色の変化や油膜の生成は農薬由来とは考えにくく、立ち会いと助言をおこなった専門家も農薬を落とす効果に関しては疑問視しているという。
また、慣行栽培で農薬の基準値を超えることは稀であり、専門家は効果を検証する必要性を行政機関に提言している。なお、ホタテパウダーの販売会社はこの件の取材に対して応じていないとしている。
| サイエンス
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Source: スラッシュドット