headless 曰く、
JAMSTEC の研究グループが超簡単に短時間で人工細胞を作製する手法を確立したそうだ
(プレスリリース、
論文)。人工細胞は脂質で形成した人工細胞膜に様々な分子を閉じ込めて生化学的な反応を行う。しかし、脂質膜形成に現在よく利用されている界面通過法などの方法は数時間から一昼夜の時間を要するほか、論文にあまり記載されない軽微だが重要なコツが多くあり、レシピだけで質の高い人工細胞を再現性良く作ることは困難だったという。
人工細胞の作製にはリン脂質が均質に溶けた脂質オイル溶液を準備することが重要だ。今回の手法ではガラス管の中で簡易的に脂質フィルムを作り、オイルを加えた後 70 ℃ で 1 分間温めてすぐに撹拌するという手順に界面通過法を単純化し、今までと同等以上の人工細胞を 30 分以内で再現性良く形成できるようになったとのこと。
また、必要な試薬を乾燥させることで、水と目的の遺伝子、卓上遠心機やボルテックスなどの簡単な機器さえあれば、どこでも人工細胞を作ることが可能になった。人工細胞研究は生命創造の可能性を秘めた研究分野として大きく注目されているが、今回の研究成果は誰でも簡単に人工細胞実験ができるキット化を可能にするものであり、サンプル中に特定のウイルスや生物の DNA が存在するかどうかを判別するバイオセンサーとしての応用なども期待できるとのことだ。
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Source: スラッシュドット