米連邦最高裁判所は 6 月 26 日、歌詞表示サービス Genius が Google と LyricFind を訴えた裁判で下級審の判決を支持し、Genius の上告を棄却した
(Ars Technica の記事、
The Register の記事、
SCOTUSblog の記事、
裁判所文書: PDF)。
この裁判で争点となったのは、米著作権法の専占条項 (合衆国法典第 17 編第 301 条) がニューヨーク州法に基づく契約でコンテンツの無断使用禁止を認めるかどうかという点だ。米著作権法の専占条項 (第 102 条、第 103 条) では有形メディアに固定された著作物およびその派生物に対する権利について、著作権法が他の法律に優先すると定めている。
Genius は歌詞の著作権を保有しているわけではないが、著作権者から歌詞データが提供されないケースが多く、自前で文字起こしする必要がある。文字起こししたデータを他社に流用されれば損害となるため、Google / LyricFind による無断使用を疑った Genius では一部の記号を形の良く似た記号に置き換えるウォーターマーク埋め込みにより証拠を確保。ニューヨーク州法に基づく契約違反や不当競争で 2 社をニューヨーク州裁判所に提訴した。
しかし、訴訟が著作権に関するものだとする Google の主張により、審理は連邦地裁に移動することになった。連邦地裁では著作権法の専占条項によりニューヨーク州法に基づく契約は無効であり、Genius の請求内容は保有していない著作権を侵害されたと主張するのも同然だと判断して訴訟を棄却した。2 審の連邦巡回区第 2 控訴裁判所が連邦地裁の判断を支持したため、Genius が上告していた。
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Source: スラッシュドット