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米国の複数州で昨夏発生したO157:H7アウトブレイク、感染源の食材は特定されず

headless 曰く、

昨年 7 月から 8 月にかけて、米国の複数の州で Wendy’s の客に O157:H7 アウトブレイクが発生したが、感染源となった食材は結局特定できなかったようだ
(CDC の報告書
Ars Technica の記事)。

米疾病予防センター (CDC) が確認した症例は 6 州で計 109 件 (ミシガン:67、オハイオ: 24、インディアナ: 11、ペンシルベニア: 4、ケンタッキー: 2、ニューヨーク: 1)、52 名が入院したが死者は出ていない。患者 84 名を対象に行った聞き取り調査では 70 名が発症前に同じファーストフードチェーン (Wendy’s) で食事しており、共通する食材としてビーフパティ (53 名) とサンドイッチのロメインレタス (46 名) が挙げられていた。初期の調査でロメインレタスを食べた人は 90% を超えており、Wendy’s ではアウトブレイクに関連する州の店舗でロメインレタス提供を中止している。一部の店舗では感染した店員がアウトブレイクを増幅させた可能性はあるものの、多くの店舗に感染した店員はおらず、究極の感染源ではないとみられる。

食品を感染源とする O157:H7 アウトブレイクでは葉物野菜や牛肉に結び付けられることが多いことから、食品医薬品局 (FDA) がロメインレタス、農務省食品安全検査局 (USDA-FSIS) がビーフパティを追跡調査したが、アウトブレイクに関連する症状をすべて説明可能な単一の製品ロットは特定されなかったという。Wendy’s 以外のレストランでのクラスターが存在しないため、FDA と USDA は三角測量による共通の感染源を特定することもできない。州ではレストランで収集したサンプル、FDA ではサプライチェーンで収集したサンプルを検査したが、アウトブレイク株は特定されなかったとのこと。

本件は単一のレストランチェーンで発生したアウトブレイクの調査が困難であることを示すものだという。上述の三角測量による感染源の特定ができないことのほか、多くのメニューで共通の食材が多いため単一の食材を感染源として特定するのが困難であり、食材間や感染した店員を通じた二次汚染も発生する。今回は結果として食材が特定されなかったものの、ロメインレタスの提供を中止して以降はアウトブレイクに関連する症例は報告されていないとのことだ。

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2022年08月29日

Source: スラッシュドット