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生命の起源を解く重要なヒントになる「海底熱水-液体/超臨界CO<sub>2</sub>仮説」

生命の起源を解く重要なヒントとなるという「海底熱水-液体/超臨界 CO2 仮説」を JAMSTEC の研究チームが提唱している
(プレスリリース
論文)。

生命誕生の場を海底熱水とする説は生命の起源に対する有力シナリオの一つでありながら、海底熱水系を満たす水が有機物の合成を妨げ、分解を促進することで前生物的化学進化が困難になるという欠点「ウォーター パラドックス」が指摘されている。

研究チームでは、多くの有機物を溶かす一方で水をほとんど溶かさない液体/超臨界 CO2 を貯留する海底熱水系が現在の深海底の熱水噴出孔周辺や海底下にまれに存在することを考慮。このような海底熱水系が 40 億年以上前の原始地球にも存在しえたかどうか、そこで化学進化が起こりえたかどうかを既存の研究成果に基づく理論的考察によって検証したという。

その結果、原始地球で液体/超臨界 CO2 を貯留する海底熱水系が存在した可能性が非常に高いことが示され、そこでは水の中で起こらない化学進化における重要な化学反応プロセスが起こりやすいことも予測したとのこと。

仮説はウォーター パラドックスを克服するだけでなく、海底熱水が化学進化を効果的に促進する生命誕生の場所となるまったく新しい概念を提供するものとなる。今後は液体/超臨界 CO2 を使った室内実験や海底下に液体/超臨界 CO2 プールが広がる沖縄トラフ熱水活動域などで仮説の検証を行っていく予定とのことだ。

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Source: スラッシュドット