headless 曰く、
世界各地の米大使館・領事館が敷地内に設置した大気汚染モニターのデータを継続的にツイートした結果、大気汚染物質の減少につながったとするカーネギーメロン大学などの研究者チームによる研究成果が発表された
(論文アブストラクト、
Ars Technica の記事)。きっかけとなったのは北京の米大使館が 2008 年、新たに設置した大気汚染モニターによる大気品質情報を 1 時間おきにツイートし始めたことだ。これにより、北京の住人が得られる大気品質情報は大幅に改善した。以降、米国では大気品質情報の提供を世界の 50 都市以上に拡大している。
研究チームはもともと大気汚染の改善による大使館職員の危険手当への影響を調査しようとしていたそうだ。しかし、大使館が多くの場所で大気汚染モニターを開始した時点と比較した大気汚染物質のデータが見当たらなかったため、自分たちで調べることにしたという。
研究では人工衛星のデータを用い、2020 年までに米国による大気品質情報の提供が始まった 36 か国・50 都市を含む 136 か国・466 都市の大気汚染状況を調査。その結果、大気品質情報が提供されている国では PM2.5 濃度が 1 立方メートルあたり 2 ~ 4 マイクログラム減少したことが判明する。大気汚染物質の減少による若年死減少の利益を金額に換算すれば 2019 年に平均的な都市で 1 億 2,700 万ドルと推計されるという。また、米国務省では平均的な大使館で危険手当を 33,971 ドル節約できたそうだ。
世界保健機関 (WHO) の推計によると世界人口の 90 % 以上が危険なレベルの大気汚染にさらされているが、低中所得国の多くでは大気品質に関する情報が少ない。世界各地で大気汚染物質を規制する権限が米大使館にあるわけではないが、情報を公開したことが現地当局への圧力となり、大気品質の改善につながったと考えられるとのことだ。
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Source: スラッシュドット