headless 曰く、
顔料と卵黄を混ぜて絵具にする絵画技法の卵テンペラについて、ソルボンヌ大学の研究チームが物理化学面の特徴に関する研究成果を発表している(Ars Technica の記事、 CNRS のプレスリリース、 論文アブストラクト)。
卵黄などの粘性がある水溶性の素材をバインダーにするテンペラは中世に広く用いられた技法だが、これまでの研究はバインダーの特定や、どのように劣化していくのかといった点が重視され、物理化学の面ではあまり研究されてこなかったという。研究チームは中世イタリアの画家チェンニーノ・チェンニーニが残した絵画のガイドブックにあるレシピを用いて緑土の卵テンペラを作り、レオロジーと NMR リラクソメトリーを用いて水で練っただけの緑土との比較を行っている。
その結果、両者ともストレスが増すにつれて粘度は低下するものの、卵テンペラの方が粘度を維持していたという。これは卵黄のタンパク質と水分子、顔料が含む粘土の粒子がネットワークを形成することによるものであり、塗り広げやすさやカバー力を強化する。卵黄をバインダーとして使用することで、テンペラの柔軟性増加にもつながっているとのこと。
今回の研究成果は絵具におけるバインダーの種類の重要さに関する疑問をすべて解決するものではないが、バインダーと顔料が形成するネットワークについて新たな見識をもたらし、画家の考えをよりよく理解できるようにするとのことだ。
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Source: スラッシュドット