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SpaceX、打ち上げ直後の Starlink 衛星の大半を磁気嵐で失う

maia 曰く、

SpaceX は日本時間 4 日、ケネディ宇宙センターから 通信衛星 Starlink 49 基を Falcon 9 ロケットで打ち上げた
(sorae の記事
Gigazine の記事
SpaceX の更新情報)。

初期の軌道高度は約 210 km と低いのだが、それは一旦ここで各衛星の機能に異常がないか確認するためで、正常に機能しない衛星は空気抵抗で軌道を外れて破棄される。しかし、打ち上げの翌日に地磁気嵐が発生し、超高層大気の温度と密度が増して抵抗が 50 % 増しになった。これによって最大 40 基の衛星が喪失した、またはするとみられる。

実は 1 月 30 日、ちょっとした太陽フレア及びコロナ質量放出 (CME:Coronal Mass Ejection) が発生しており、地球に到達して地磁気嵐を引き起こしていた。また 9 日 〜 10 日にも次の CME が到達したはずである(Space.com の記事
India Today の記事)。

軌道上昇中の Starlink は衛星本体の前に太陽電池パネルが並ぶ「開いた本」のような状態になるが、空気抵抗の影響を最低限にするため Starlink チームは開いた本を立てた状態のセーフモードに移行するようコマンドを送ったという。しかし、空気抵抗の増加によりセーフモードを抜けて軌道上昇マヌーバ―を開始することができず、大半がそのまま大気圏へ再突入したとみられる。プエルトリコでは現地時間 7 日 2 時 40 分頃 (日本時間 15 時 40 分頃)、再突入した Starlink 衛星が燃え尽きる様子が Sociedad de Astronomía del Caribe (SAC) により撮影されている
(SlashGear の記事
SAC のニュース記事
動画)。

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Source: スラッシュドット