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DMCA 迂回禁止条項違反を主張する怪しい削除要請、著名サイトもターゲットに

実在するかどうかも怪しい「Video Industry Association of America」という団体が Google に対し、米著作権法 1201 条 (DMCA 迂回禁止条項) 違反による検索インデックスからの削除要請を多数送っているようだ(TorrentFreak の記事)。

Google は 1201 条違反を主張する削除要請を受けた場合、512 条に基づく通常の削除要請(いわゆる DMCA 削除要請)とは別に処理を行う。そのため透明性リポートには記載されないが、Lumen には削除要請のアーカイブが保存される。同団体名で Google に送られた削除要請は過去 2 か月間で 200 件を超える。

TorrentFreak が同団体を知ったのは、米著作権局の偽物が同団体に代わって Google に送ったという削除要請だ。米著作権局は一連の削除要請がなりすましによるものだと確認している。同団体が送った削除要請の説明は「Video Industry Association of America に代わってこれらのコンテンツを削除するよう強く申し立てる」といった部分を含め、偽の著作権局が送った削除要請とほぼ同じ内容だ。ただし、同団体が送った削除要請の一部では説明の冒頭にロシア語が追加されている。

削除要請の対象には著作権者が問題視するリッピングツールなどのサイト URL も含まれるが、インターネットプロバイダーやニュースサイトなど著作権侵害と無関係な URL も多数含まれる。Google はほとんどの削除要請を無視しているが、一部の小規模なニュースサイトは Google の検索結果から消える結果となった。

現在は復活しているようだが、同団体の削除要請により Google のインデックスから一時削除された Fossbytes によれば、削除要請の送信地はロシアだったという。なお、DMCA 削除要請による削除とは異なり、1201 条違反による削除要請には異議申し立ての方法が用意されておらず、いったん削除されると復活は簡単ではないとのことだ。

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Source: スラッシュドット