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英競争・市場庁による市場調査の無効を訴えるApple、「shall」の定義が争点に

Apple が英競争・市場庁 (CMA) による英国のモバイルエコシステム供給に関する市場調査の無効を競争審判所に訴えているのだが、2002 年企業法 131 条の条文にみられる「shall」の定義が争点になっているようだ
(CMA が競争審判所に提出した文書 (PDF)
FOSS Patents の記事
9to5Mac の記事
競争審判所の更新情報)。

131 条は英国の市場における競争の阻害が懸念される場合の市場調査付託 (MIR) に関する CMA の権限と制限を定めるものだ。131 条 A では MIR の実施を判断するための市場研究公示 (MSN) と意見募集、131 条 B では MSN の公表から MIR の手続き開始までの時間制限を定めている。

CMA は本件に関する市場研究を 2021 年 6 月 15 日に開始し、2021 年 12 月 14 日には中間報告書の発行に合わせて MIR を実施しないと発表していたが、2022 年 6 月 10 日発行の最終報告書 (FR: PDF) 発行とともに意見募集を開始。2022 年 11 月 22 日に MIR 実施を発表している。

Apple は 131 条 A と B の条文に出現する「shall」を「must」または「required」と解釈しており、本件が
(i) MIR の提案と意見募集の開始は MSN 公表から 6 か月以内に行う必要がある
(ii) MSN から 12 か月以内に FR を発行する必要がある
(iii) FR で MIR 実施の有無を発表する必要がある
(iv) MIR を実施する場合は FR 発行と同時に行う必要がある、
といった規定に反することから MIR 実施決定の取り消し、および MIR 実施決定とその決定による市場調査に法的根拠がないことの確認を求めている。

RFC では一般に「must」や「required」と同じ意味に解釈される「shall」だが、辞書的な定義は義務付けにとどまらず、許可や事実、未来を表現するなど幅広い。そのため、法律的には義務付けを示すとの解釈が主流ではあるものの、さまざまな解釈が行われてきた。米イリノイ州の裁判所では「shall」が法律で用いられる場合、義務付けの厳格さは立法の趣旨に従って変動するとの考えを示している。

競争審判所では 3 月 10 日に審理をスケジュールしている。

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Source: スラッシュドット