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東北大学などの研究グループ、独自の開発指針による反強磁性的ハーフメタルの合成に成功

headless 曰く、

東北大学などの研究グループが独自の物質開発指針を基に、ハーフメタルの完全補償型フェリ磁性体 (HM-FCFM) を合成することに成功したそうだ
(東北大学のプレスリリース
JAMSTEC のプレスリリース
論文)。

同じ大きさの磁気モーメントが交互かつ反平行に配列し、全体として磁化の生じない磁性体が反強磁性体だ。ただし、文字通りの反強磁性体は金属と絶縁体 (半導体) の両方の電子状態を併せ持つ磁性体であるハーフメタルとはスピン状態が異なる。一方、HM-FCFM は十分な低温下で反強磁性的な特徴を示しつつ、温度が上昇すると小さな磁化を示すようになる。HM-FCFM は長年探索が行われてきたが、これまでに確認されたのは 2 例のみだった。

今回、研究グループでは「遷移金属元素の荷電子数を合計で 10 にする」という独自の開発指針を基に、鉄・クロム・硫黄からなる化合物を合成した。この物質は低温で完全に磁化を消失する一方、250~325 K では強磁性的な特徴を示すようになり、300 K で保磁力は最大の 3.8T に達する。優れた特性を示す反強磁性的ハーフメタル物質の合成に成功したことで、これを利用した超高機能な電子デバイスの実現が期待されるほか、開発指針の信ぴょう性が実証されたことで、今後の物質探索・開発が高効率化することが期待されるとのことだ。

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Source: スラッシュドット