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愛媛県で多く見られる日本紅斑熱などの感染症に関する研究報告。居住場所に影響

日本公衆衛生学会誌に、愛媛県で多発している日本紅斑熱と重症熱性血小板減少症候群の感染原因やその対策に関する研究報告が掲載されている(公衆衛生学会誌2022 年 69 巻 7 号 p. 517-526)。

日本紅斑熱(JSF)は特定の病原体を持つダニに咬まれることにより感染する感染症。重症熱性血小板減少症候群(SFTS)も同様に、SFTSウイルスを持つマダニに噛まれると感染するという。

愛媛県内で2003年8月から17年間に渡って出されたJSFの届出数は91例。感染した場所としては柑橘栽培の山に隣接する住宅地が67.0%ほどあり、野山に立入らない場合でも感染する傾向にあることがわかったという。SFTSに関しては、2013年12月から7年間の届出数は14例で、こちらの住居環境割合は山間の住宅地が85.7%。届出当該者の職業割合は退職者が85.7%を占めたとされる。

SFTSの届出当該者は、退職者や山間に居住する者が大半を占めていた。一方でJSFの届出該当者に多い柑橘栽培農業者ではSFTSの届出が無かったという違いが見られたという。また住宅環境が海岸に近く、柑橘栽培の山が接近していたり、日当たりの良い集落・住宅の場合はSFTSの届出が無かったとされる。この違いとして両感染症をそれぞれ媒介するマダニが好む環境の違いが考えられるのではないかとしている。

今後の懸念材料として耕作放棄地の増加などにより,マダニの病原巣動物である野ネズミ等の野生動物が増加しており、将来的に愛媛県全域でJSF患者が増加するリスクが懸念されているとのこと。

pongchang 曰く、

耕作放棄のみかん畑も蜜柑がなる。柑橘類を餌にイノシシが海を渡り進出する。
まだ耕作を続けているミカン園では作業者がマダニに接しやすくなるという環境の変化が有るのかもしれない。

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Source: スラッシュドット