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季節性インフルエンザのアウトブレイク発生、湿度の閾値が州によって異なるとの研究成果

headless 曰く、

季節性インフルエンザのアウトブレイク発生には湿度が重要な因子になっていると考えられるが、NASA ジェット推進研究所 (JPL) と南カリフォルニア大学の研究チームの研究成果によると、アウトブレイクが発生する湿度の閾値が州ごとに異なるそうだ
(論文
NASA JPL のニュース記事)。

研究は NASA の人工衛星 Aqua 搭載の大気赤外サウンダー (AIRS) の湿度データと、Google の検索クエリからインフルエンザ様の疾病 (ILI) に関連して診察を受けた人の数を推定する Google Flu Trends (GFT) のデータを用い、州ごとのアウトブレイク発生湿度を分析している。湿度低下でILIが増加する理由としては (a) ウイルスの生存率上昇 (b) 飛沫サイズの減少による飛距離と滞空時間の増加 (c) 鼻粘膜乾燥による感染しやすさの増加といったものが挙げられるが、最近の研究では湿度の低下により異物除去機能や免疫力といったウイルスに対する身体の防御機能が低下することも示唆されている。

結果としてはいずれの州でも湿度低下に伴って ILI が増加するものの、年平均湿度が高い州では低い州よりも高い湿度でアウトブレイクが発生することがわかったという。たとえば非常に乾燥したワイオミング州では季節ごとの最高湿度の範囲がフロリダ州の最低湿度の範囲よりも低い。アウトブレイクが発生する湿度はワイオミング州が最も低く、フロリダ州が最も高かったとのこと。

州ごとに異なる湿度でアウトブレイクが発生することから、湿度低下によるウイルスの生存率上昇や飛沫サイズ減少が原因となっている可能性は低い。そのため、住んでいる環境の年平均湿度が鼻粘膜乾燥による感染しやすさ増加や、ウイルスに対する防御機能が低下する湿度に影響すると考えられるとのことだ。

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Source: スラッシュドット